11月23日は勤労感謝の日。働く人々への感謝の気持ちを表すこの祝日は、子どもたちにとって「ありがとう」の大切さを学ぶ絶好の機会です。学童保育の現場では、この日に向けて子どもたちが心を込めて手作りプレゼントを作る光景が見られます。
私がこれまで様々な学童クラブを取材してきた中で印象的だったのは、小学生の子どもたちが一生懸命にお父さんやお母さん、そして日頃お世話になっている先生たちのために作品を作る姿でした。
不器用ながらも「喜んでもらいたい」という純粋な気持ちが込められた手作りプレゼントは、受け取る大人たちにとって何よりも価値のある贈り物となります。
学童保育という限られた時間と環境の中でも、子どもたちが無理なく楽しみながら作れるプレゼントアイデアをご紹介します。
身近な材料を使って短時間で完成できるものばかりなので、学童の指導員の皆さんや、ご家庭での工作時間にもぜひ活用してください。
勤労感謝の日に学童で作って贈る簡単手作りプレゼントのアイデア
画用紙を使ったメッセージカードの作り方
基本のメッセージカード 制作時間:30分 / 対象年齢:小学1年生〜6年生
画用紙を使ったメッセージカードは、学童で最も取り組みやすいプレゼントの一つです。年齢に応じて装飾の複雑さを調整できるため、異年齢混合の学童クラブでも全員が参加できます。
必要な材料:
- 色画用紙(A4サイズ)
- 色鉛筆、クレヨン、マーカー
- のり、はさみ
- シール、マスキングテープ
- 毛糸や布の切れ端
作り方:
- カードの形を決める
- 二つ折りカード(定番型)
- 立体カード(上級者向け)
- 窓付きカード(中級者向け)
- 表紙のデザイン
- 「いつもありがとう」の文字を大きく
- 家族の似顔絵を描く
- 手形・足形でアート作品に
- 内側のメッセージ
- 具体的な感謝の内容を書く
- 絵と文字を組み合わせる
- 低学年は絵メイン、高学年は文字メイン
年齢別アレンジ方法
小学1-2年生向け:
- 絵を中心とした構成
- シールを多用した装飾
- 短い言葉でのメッセージ
- 指導員による文字のサポート
小学3-4年生向け:
- 文字と絵のバランス取り
- 色使いの工夫を指導
- 立体的な装飾にチャレンジ
- 相手別にカードを作り分け
小学5-6年生向け:
- 本格的なレタリング技法
- 複雑な立体カード制作
- オリジナルデザインの考案
- 下級生への指導サポート
特別なカードアイデア
「お仕事図鑑カード」 お父さんやお母さんの職業を調べて、その仕事の素晴らしさを表現したカード。
制作例:
- 看護師のお母さん:白衣を着た似顔絵と「病気の人を助けてくれてありがとう」
- 会社員のお父さん:スーツ姿の絵と「家族のためにお仕事頑張ってくれてありがとう」
「一年間ありがとうカード」 月ごとに感謝したいことを思い出して作る12枚セットのミニカード。
折り紙で作る花束のレシピ
基本の折り紙花束 制作時間:45分 / 対象年齢:小学2年生〜6年生
折り紙で作る花束は、枯れることがなく長期間飾ってもらえる実用的なプレゼントです。
必要な材料:
- 折り紙(15cm角、様々な色)
- 緑色の画用紙(茎用)
- ストロー(茎の芯用)
- セロハンテープ、のり
- リボン(束ねる用)
- 透明袋またはラッピングペーパー
人気の花の折り方
1. チューリップ(初級) 制作時間:5分/1個
- 基本の鶴の折り方をアレンジ
- 小学1年生でも挑戦可能
- 春らしい色合いで季節感演出
2. バラ(中級) 制作時間:10分/1個
- 立体的で見栄えが良い
- 小学3年生以上推奨
- 母の日にも応用可能
3. カーネーション(中級) 制作時間:8分/1個
- ギザギザの花びらが特徴的
- お母さんへのプレゼントに最適
- 色の組み合わせで表現豊かに
4. ひまわり(上級) 制作時間:15分/1個
- 小学5年生以上向け
- 夏の思い出を込めて
- 大きめサイズで存在感抜群
花束の組み立て方
- 茎の作成
- ストローに緑の画用紙を巻く
- セロハンテープでしっかり固定
- 葉っぱを別途作成して貼付
- 花と茎の接続
- 花の底部分にストローを差し込み
- 見えない部分でテープ固定
- 自然な角度になるよう調整
- 花束の仕上げ
- 3-5本の花をまとめる
- リボンで茎部分を結ぶ
- 透明袋に入れて完成
学童での指導ポイント
- 年齢混合グループで上級生が下級生をサポート
- 完成度より「作る楽しさ」を重視
- 失敗を恐れずチャレンジできる雰囲気作り
- 一人最低2-3本は作って達成感を味わう
身近な材料でできる工作アイデア
牛乳パックを使ったペン立て 制作時間:40分 / 対象年齢:小学1年生〜6年生
家庭から持ち寄った牛乳パックを再利用した実用的なプレゼント。
材料:
- 1リットル牛乳パック
- 色画用紙または包装紙
- 毛糸、リボン
- ボタン、ビーズ(装飾用)
- 木工用ボンド
作り方:
- 牛乳パックを適当な高さでカット
- 外側に色画用紙を貼る
- 毛糸やリボンで装飾
- 子どもの写真や絵を貼り付け
- 「お疲れさま」のメッセージを添付
空き缶リメイクのプランター 制作時間:35分 / 対象年齢:小学3年生〜6年生
材料:
- 空き缶(コーン缶、トマト缶など)
- アクリル絵の具
- 多肉植物の苗
- 培養土
- 小石(底石用)
特徴:
- 環境教育的側面もあり
- 育てる楽しみをプレゼント
- オフィスや台所で活用可能
手形アート作品 制作時間:25分 / 対象年齢:全年齢
アイデア例:
- 手形を花に見立てた作品
- 家族全員の手形を重ねたアート
- 手形を動物に見立てた作品
- 成長記録としての意味も
お母さん・お父さんへの贈り物のアイデア
お母さん向け特別プレゼント
1. 手作りエプロン(簡易版) 制作時間:60分 / 対象年齢:小学4年生〜6年生
材料:
- 無地のエプロン(100円ショップで購入可能)
- 布用マーカー
- アイロン転写シート
- 子どもの絵や写真
制作ポイント:
- 「お料理ありがとう」のメッセージ
- 家族の似顔絵をワンポイント
- 洗濯しても落ちない加工が重要
2. 美容グッズセット 制作時間:30分 / 対象年齢:小学2年生〜6年生
セット内容:
- 手作り石鹸(グリセリンソープを溶かして固める)
- バスソルト(粗塩に好きな香りを混ぜる)
- 手作りハンドクリーム容器のデコレーション
お父さん向け特別プレゼント
1. 手作りしおり 制作時間:20分 / 対象年齢:小学1年生〜6年生
材料:
- 厚紙
- ラミネートフィルム
- 写真、イラスト
- リボンまたは紐
工夫点:
- お父さんの趣味に合わせたデザイン
- 家族写真を小さく入れる
- 「お仕事頑張って」のメッセージ
2. デスク周り整理グッズ 制作時間:45分 / 対象年齢:小学3年生〜6年生
アイテム例:
- クリップケース(小さな空き箱をリメイク)
- 名刺立て(厚紙で制作)
- 小物入れ(牛乳パックを活用)
先生へ感謝の気持ちを込めたプレゼント
学童クラブの先生向け
1. みんなでメッセージボード 制作時間:60分(全員で協力)/ 対象年齢:全年齢
制作方法:
- 大きな模造紙を用意
- 全員で手形を押してカラフルに
- 一人ひとりが感謝のメッセージを書く
- 思い出の写真を貼り付け
メッセージ例:
- 「いつも見守ってくれてありがとう」
- 「○○先生の笑顔が大好きです」
- 「困った時に助けてくれてありがとう」
2. 手作りカレンダー 制作時間:各月15分×12か月 / 対象年齢:小学3年生〜6年生
特徴:
- 毎月違う子どもたちが担当
- 季節の行事やイベントを絵で表現
- 先生との思い出の日に印をつける
- 一年を通して使ってもらえる実用性
学校の先生向け
1. 授業で使える小物 制作時間:30分 / 対象年齢:小学4年生〜6年生
アイデア:
- チョーク入れの装飾
- ホワイトボード用のマーカー立て
- 書類を挟むクリップの装飾
- 植物の鉢植え(教室用)
2. 感謝の手紙集 制作時間:45分 / 対象年齢:全年齢
内容:
- 授業で印象に残ったこと
- 先生に教えてもらって良かったこと
- 将来の夢と先生への感謝
- イラスト付きで見やすく
プレゼント作りのための準備
必要な材料と道具のチェックリスト
基本の工作材料
紙類
- 色画用紙(A4、B5サイズ)
- 折り紙(15cm角、様々な色)
- 模造紙(大きな作品用)
- コピー用紙(下書き用)
- 包装紙(ラッピング用)
筆記具・着色材料
- 色鉛筆(24色セット)
- クレヨン(12色セット)
- マーカー(太字・細字)
- 絵の具(水彩、アクリル)
- 筆(大・中・小)
接着・カット用具
- はさみ(子ども用・大人用)
- カッター(指導員用)
- のり(スティック・液体)
- 木工用ボンド
- 両面テープ
- セロハンテープ
装飾材料
- シール(星、花、動物など)
- リボン(様々な幅・色)
- 毛糸(カラフルな色)
- ボタン(大きめサイズ)
- ビーズ(誤飲注意)
- モール(金・銀・カラー)
リサイクル材料
- 牛乳パック
- 空き箱(お菓子の箱など)
- 空き缶(缶詰の空き缶)
- ペットボトル
- 新聞紙・雑誌
- 布の切れ端
安全管理用品
- 救急セット
- ウェットティッシュ
- エプロンまたは汚れても良い服
- ゴミ袋
- 雑巾
購入時の予算目安 30人の学童クラブの場合:
- 基本材料:10,000円〜15,000円
- 装飾材料:5,000円〜8,000円
- 特別材料(季節限定):3,000円〜5,000円
- 合計:18,000円〜28,000円
保育園や児童クラブでの取り組み方
プロジェクト全体の流れ
1か月前:企画・準備期間
- 制作するプレゼントの種類決定
- 材料の発注・購入
- 指導員間での役割分担
- 保護者への連絡(持ち帰りの日程など)
2週間前:事前指導
- 勤労感謝の日の意味説明
- 感謝の気持ちについて話し合い
- 作りたいプレゼントのアイデア出し
- グループ分けと役割決定
1週間前:制作準備
- 材料の最終確認
- 制作スペースの確保
- 見本作品の準備
- タイムスケジュールの確認
制作当日:実施
- 安全確認とルール説明
- 年齢別グループでの制作
- 上級生による下級生サポート
- 完成作品の発表会
翌日:振り返り
- 制作の感想共有
- 改善点の洗い出し
- 次回への申し送り事項
- 写真記録の整理
年齢混合グループでの指導法
ペア制サポートシステム
- 高学年1人が低学年1-2人をサポート
- お兄さん・お姉さん役で責任感を育成
- 教える側も学ぶ側も成長する機会
ローテーション制作
- 複数の作品を並行して制作
- 子どもたちが自分のペースで選択
- 完成度より参加することを重視
安全管理のポイント
道具の使用ルール
- はさみ・カッターの使用は指導員の監督下で
- 一人ひとりに道具を渡す前に使い方説明
- 終了時の道具回収を徹底
- 怪我をした場合の対応手順を事前確認
アレルギー対策
- 事前に保護者から情報収集
- 特定の材料にアレルギーがある子への配慮
- 代替材料の準備
- 緊急時の連絡体制確認
プレゼントに込めるメッセージのアイデア
子どもたちの思いを伝える言葉
年齢別メッセージの特徴
小学1-2年生のメッセージ
- 短くて分かりやすい言葉
- 絵と組み合わせた表現
- 具体的な行動への感謝
例:
- 「いつもおいしいごはんをありがとう」
- 「やさしくしてくれてありがとう」
- 「だっこしてくれてうれしいよ」
小学3-4年生のメッセージ
- 感情を表現する語彙が増加
- 相手の立場を考えた内容
- 具体的なエピソードを含む
例:
- 「お仕事で疲れているのに、宿題を見てくれてありがとう」
- 「いつも家族のために頑張ってくれているお母さんが大好きです」
- 「風邪をひいた時、看病してくれてありがとう」
小学5-6年生のメッセージ
- 抽象的な概念も理解
- 相手の気持ちに寄り添う表現
- 将来への思いも含む
例:
- 「お父さんの背中を見て、働くことの大切さを学んでいます」
- 「いつも支えてくれているから、私も頑張れます」
- 「大人になったら、お父さんお母さんのような人になりたいです」
心温まるメッセージの具体例
お父さんへのメッセージ
会社員のお父さんへ
- 「毎日遅くまでお仕事お疲れさま。お父さんが頑張っているから、私たちが幸せに暮らせるんだね。ありがとう。」
- 「疲れて帰ってきても、宿題を見てくれるお父さんが大好きです。」
- 「お父さんの『お疲れさま』の笑顔を見ると、私も頑張ろうって思います。」
自営業のお父さんへ
- 「お店のお客さんがお父さんを喜んでくれるのを見て、誇らしい気持ちになります。」
- 「お父さんの仕事を手伝えるようになるまで、たくさん勉強します。」
お母さんへのメッセージ
働くお母さんへ
- 「お仕事と家事の両方をこなすお母さんはすごいです。尊敬しています。」
- 「忙しいのに、私の話をいつも聞いてくれてありがとう。」
- 「お母さんみたいに、強くて優しい人になりたいです。」
専業主婦のお母さんへ
- 「毎日おいしいご飯を作ってくれてありがとう。お母さんの料理が世界一です。」
- 「いつも家をきれいにしてくれて、気持ちよく過ごせます。」
- 「お母さんがいてくれるから、安心して学校に行けます。」
先生へのメッセージ
学童クラブの先生へ
- 「毎日楽しい時間をありがとうございます。先生と過ごす時間が大好きです。」
- 「困った時にいつも助けてくれる○○先生が大好きです。」
- 「先生のおかげで、学童クラブに来るのが楽しみです。」
学校の先生へ
- 「先生のおかげで、勉強が楽しくなりました。ありがとうございます。」
- 「いつも私たちのことを考えてくれて、ありがとうございます。」
- 「先生から学んだことを、一生忘れません。」
地域の働く人へのメッセージ
消防士さんへ
- 「みんなの安全を守ってくれてありがとうございます。かっこいいです。」
お医者さん・看護師さんへ
- 「病気の人を治してくれてありがとうございます。すごいお仕事ですね。」
お店の人へ
- 「いつも笑顔で接してくれてありがとうございます。お買い物が楽しいです。」
メッセージを書く時の指導ポイント
感謝の具体性を引き出す
- 「何に対して感謝しているのか」を明確に
- 日常の具体的なエピソードを思い出させる
- 「ありがとう」だけでなく、理由も書く
相手の立場に立って考える
- 「お父さんはどんな気持ちで働いているかな?」
- 「先生はどんな思いで私たちを見ていてくれるかな?」
- 相手の大変さや努力を想像させる
自分の言葉で表現する
- 難しい言葉を使う必要はない
- 素直な気持ちを大切に
- 個性的な表現を褒めて伸ばす
まとめ
学童保育での勤労感謝の日プレゼント作りは、子どもたちにとって「感謝の心」を学ぶ貴重な機会です。手作りの温かさは、どんな高価なプレゼントにも勝る価値があり、受け取る大人たちの心に深く響きます。
成功するプレゼント作りのポイント
- 年齢に応じた内容選択
- 小学1-2年生:簡単で達成感のあるもの
- 小学3-4年生:少し挑戦的な要素を含むもの
- 小学5-6年生:創意工夫できる余地のあるもの
- 安全性の確保
- 道具の使用ルールの徹底
- 指導員による適切な監督
- アレルギー等への配慮
- 協力体制の構築
- 上級生による下級生サポート
- みんなで作り上げる達成感
- 競争ではなく協力を重視
- 感謝の心の育成
- 勤労感謝の日の意味理解
- 日常の「ありがとう」への気づき
- 相手の立場に立って考える力
- 継続可能な取り組み
- 無理のない予算設定
- 指導員の負担軽減
- 毎年改善を重ねるシステム
プレゼント作りを通じて育まれるもの
- 感謝の心:働く人々への敬意と感謝
- 創造性:自分なりの表現方法の発見
- 協調性:仲間と協力して作り上げる喜び
- 達成感:最後まで完成させる満足感
- 思いやり:相手の喜ぶ顔を想像する優しさ
勤労感謝の日のプレゼント作りは、単なる工作活動を超えて、子どもたちの心の成長を促す教育的な取り組みです。指導員の皆さんには、完成度よりも「心を込めて作る過程」を大切にしていただき、子どもたちの純粋な感謝の気持ちを大切に育んでいただければと思います。
きっと子どもたちの手作りプレゼントは、お父さんお母さん、そして先生方にとって、何物にも代えがたい宝物となることでしょう。
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